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概要
デジタル化された静止画像には、細かく分割された画素が二次元の行列状に配置されています。そして、それぞれの画素に輝度と色のパラメータが存在します。このパラメータ値に、人間の目では検出できない情報を埋め込み、操作します。この技術のことを静止画データハイディングといいます。
現在、IBM東京基礎研究所(以下 TRL)では、静止画に関し3種類の電子透かし技術を提案しています。
- 耐性のある電子透かし
- 改ざん検出のための電子透かし
- 可視透かし
耐性のある電子透かし
耐性がありセキュリティのある電子透かしを耐性のある電子透かしといいます。著作権保護アプリケーションではこのタイプの電子透かし技術が重要です。非可視であること、埋め込めるデータ量、検出の信頼性、耐久性の強さ、およびセキュリティなどが相反するトレードオフです。TRLの耐性のある電子透かし技術は、非可視状態を保ったままで埋め込めるデータ量と、データの耐性を最大化しています。
静止画におけるTRLの電子透かし技術の耐性を以下に示します。
情報埋込プロセスは次の通りです。まず、複数ビットからなるメッセージは擬似ランダムなノイズ・マスクにより変調されます。次に、目標とするイメージの全てのエリアにメッセージが埋め込まれます。情報検出プロセスは、次の通りです。まず、入力されたイメージは、擬似ランダムノイズを使い変調します。その結果は、蓄積され統計的な推論を経て信頼性の高い情報検出をします。不可逆な圧縮技術のアルゴリズムは量子化を含みますが、その結果として生じる丸め誤差は一種の統計的な現象のように扱うことができるので、TRLの電子透かし技術は圧縮、解凍をしても検出が可能です。
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改ざん検出のための電子透かし
改ざん検出のための電子透かしは、デジタル写真の真偽をチェックするために研究・開発されてきました。
この電子透かし技術は、コンテンツ上の微妙な変化に対しても反応します。電子透かしの一貫性をチェックすることによってシステムはコンテンツが改ざん、または置換されているかを調べることができます。従来、コンテンツの真偽を確認する方法は「デジタル署名」といわれる暗号化技術が使われていました。この技術では、デジタル写真の真偽をハッシュの照合により行います。現在のイメージ・データからハッシュを作り、それをイメージ・データのヘッダー部分に書いてある元々のハッシュと比較するというのが典型的なハッシュの照合のやり方です。
このアプローチは完全に閉じたシステム内では機能しますが、開いたシステムでの要求を満たすことはできません。たとえば、ファイル形式は開いたシステム内で配布される間に変わるかもしれません。これではデジタル署名の意味が無くなってしまいます。実際に、改ざんはなくてもファイル形式が変る状況は頻繁に起こります。デジタルカメラは取り込んだ写真を
"exif"と呼ばれるJPEG圧縮ファイル形式で一般に保存します。これは圧縮されたファイルが保管と転送においては優れているからですが、そのファイルを使用する時には解凍されなければなりません。つまり撮ったイメージを閲覧して保存しただけでファイル形式の変換が起こってデジタル署名は使えなくなってしまうかもしれないのです。
TRLでは、これらの問題に対する解決策として、改ざん検出のための電子透かし技術の提供をしています。
詳細は、保険金請求プロセスでのデータハイディング または、耐性のある電子透かし を参照してください。
可視透かし
可視透かしは、上の2つの電子透かしとは異なり、
オリジナルの画像に、目に見える形でデータを埋め込みます。画像ファイルがサンプルであることを示したり、
ロゴマークや著作権を表示することで、不正使用に対する抑止効果が期待できます。
また、透かしを埋め込んだまま画像を加工すると除去できなくなるため、不正な画像加工の防止にも役立ちます。
また、この透かしは、透かしを取り去るための電子鍵(除去鍵)を用いて除去することが出来ます。
例えば、公開サンプル画像に"SAMPLE"等の可視透かしを埋め込み、有料の
除去鍵を購入した人のみが"SAMPLE"の透かしを除去し、オリジナル画像を手に入れることが出来る、という
アプリケーションも考えられます。
下の例では、原画(左)に、"IBM"という
可視透かしを埋め込み(右)、更にそれを除去鍵を用いて除去しています(左)。
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実績
1996年前半、TRLは通産省と電子透かしを利用したアプリケーションソフトの研究・開発をするという契約を結びました。これはインターネット上で、デジタル化された静止画の著作権管理、改ざんや不正コピーを防止するための研究・開発です。
Advanced Software Enrichment Projectの一員であったIBMデータハイディングチームは、1997年の11月までに静止画データハイディングに関するドキュメントと3種類のアプリケーションを作成し、Information-Technology
Promotion Agency (IPA)に提出しました。
アプリケーションは次の通りです。
- 所有権照合ソフト
- ビット列の埋込/検出ソフト
- 非可視のロゴマークの埋込/検出ソフト
その後も技術の向上、アプリケーションソフトウェアの開発、著作権管理フレームワークの実用的なモデル確立のための研究・開発を続けています。詳細は次をご覧ください。
- データハイディングの理論と技術
- オーディオデータハイディングのアプリケーション・フレームワーク
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